自宅の電話に意味不明の着信履歴が残っていた。
新型コロナウイルスにかこつけた詐欺商法まがいだと思って無視していた。
なぜならば、新型コロナウイルス感染症が増えはじめた2020年3月ごろに2、3度ほど着信があったから。
4月にその番号から電話がかかってくることはなかったが、すっかり忘れていた5月の中旬に再び着信があった。
タイミングよく、しかし訝りながら電話に出てみると、発信者は、かの悪名高い「日本年金機構」様からの委託を受けたBグループという、わけのわからない民間企業からだった。
要件はいうまでもなく、国民年金を納付するようにとの督促である。
だけども、Bグループなどという会社ってなんだろう?
いちおうは丁重に電話を切り、最寄りの年金事務所に問い合わせてみた。
ところが、朝から晩までかけても電話は不通。無駄と思いつつも日本年金機構の窓口にかけたところすぐにつながった。
どうして地方の年金事務所が不通で本体にはすぐにコンタクトできるのだろうかと疑問に思いつつ、Bグループなる民間会社について問い合わせ。
すると驚いたことに、日本年金機構様では、いつのまにか国民年金に関する最新情報や未納についての督促などをBグループ以外にも地方ごとに民間企業に委託しているのだとか。
年金を納付している国民が知らないあいだに民間委託とは、どういうことかとたずねてみると、日本年金機構のホームページでお知らせしているとか。
たしかに右端にあるバナー広告みたいなところをクリックすると、全国各地を担当するわけのわからない会社名がずらり。
なるほど、2007年に問題になった「消えた年金問題」がうやむやになるのは当然のことだと思わざるを得なかった。
ちなみに、当時の政権は第一次安倍内閣。まあ、これはこれとして、当時、年金を管理していて社会保険庁が解体し、2010年に生まれかわったのが現在の日本年金機構様である。
ここでもうひとつの注釈。当時の政権与党が民主党であり、時の内閣総理大臣こそが、かの鳩山由紀夫大先生であるのだから、いろんな意味でなにをかいわんやだろう。
そこで思ったこと。
「国民のみなさまに布マスク2枚を速やかにお届けします」と、安倍内閣総理大臣が宣言してからどれほど経ったろうか。
アベノマスクは届いていない。
一律10万円の特別定額給付金の申請書もまだ届かない。
それなのにスピーディーかつ迅速、速やかにかかってきたのは国民年金の督促の電話。
ちなみに、4月にかかってこなかったのは、2か月分をまとめて支払うことにしているこちら側の都合。
それなのに年金の支払い催促は、安倍内閣総理大臣の言葉を借りれば、「まさに待ったなしの状況、速やかに、スピード感をもって」といったところ。
あとひとつ。
Bグループからかかってきたオペレーターにたずねたこと。
「どうして留守電に用件を入れておかないんですか?」
「規則で禁じられているのです」
本人確認後に用件を話さなければいけないということなのだろう。
だが、「日本年金機構から委託を受けているBグループの●●と申します。あらためてお電話させていただきます」くらいは、なんの問題もないだろう。
それとも、なにかしらの後ろめたさでもあるのだろうかと勘ぐりたくなる。
おぼえのない不審な着信履歴。そんなものが頻繁に残っていれば、だれだって不快と不安をおぼえるのではないだろうか。
だが、お客さま対応の品質向上のため通話はしっかり録音しているとのこと。
それは当然。
なぜならば、こちらもおなじように通話を録音しているのだから。